ExcelのDSUM関数は、データベース形式のデータから条件に合うレコードの数値を合計する関数です。この関数を使えば、フィルターをかけることなく、簡単にデータの集計ができます。
この記事では、DSUM関数の使い方と実例を紹介します。また、DSUM関数と似たような機能を持つSUMIF関数やSUMIFS関数との違いや関連性についても触れます。
DSUM関数の基本的な使い方
DSUM関数の書式は以下の通りです。
=DSUM(データベース範囲,フィールド,条件範囲)
ここで、各引数の意味は以下のようになります。
- データベース範囲:各列の見出しが入力されているレコード(またはリスト)のデータ範囲を指定します。
- フィールド:計算対象とする列を指定します。列の指定は列の見出しを「”」で囲んだ文字列で指定するか、左端から数えた列数を数字で指定します。
- 条件範囲:条件が設定されているセル範囲を指定します。条件範囲には、データベース範囲と同じ見出しを含める必要があります。
DSUM関数は、条件範囲に指定された条件に合致するレコードのみをデータベース範囲から抽出し、フィールドで指定された列の数値の合計を求めます。
DSUM関数の実例1:単一の条件で合計を求める
例えば、以下のような商品のデータベースがあるとします。
商品名 | 分類 | 金額 |
Excel 2010 | 表計算 | 15,000 |
Word 2010 | ワープロ | 12,000 |
PowerPoint 2010 | プレゼン | 10,000 |
Excel 2007 | 表計算 | 11,000 |
Word 2007 | ワープロ | 9,000 |
PowerPoint 2007 | プレゼン | 8,000 |
このデータベースから、分類が「表計算」である商品の金額の合計を求めたいとします。この場合、DSUM関数を使って以下のように計算できます。
分類 | 金額 |
表計算 | =DSUM(A1:C7,C1,A9:B10) |
この式の結果は、26,000となります。これは、分類が「表計算」である「Excel 2010(15,000円)」と「Excel 2007(11,000円)」の金額の合計に等しいです。
条件範囲には、データベース範囲と同じ見出しを含める必要があることに注意してください。また、条件範囲には、条件を満たす文字列や数値を入力します。文字列の場合は「”」で囲む必要はありませんが、数値の場合は「=」や「>」などの比較演算子を使って条件を指定することができます。
DSUM関数の実例2:複数の条件で合計を求める
DSUM関数では、複数の条件を指定して合計を求めることもできます。複数の条件を指定する場合は、条件範囲に横方向に並べるか、縦方向に並べるかで意味が変わります。
横方向に並べた場合は、「AND条件」となり、すべての条件を満たすレコードのみが抽出されます。縦方向に並べた場合は、「OR条件」となり、いずれかの条件を満たすレコードが抽出されます。
例えば、以下のような条件範囲を設定したとします。
分類 | 金額 |
表計算 | =10,001 |
ワープロ | =10,001 |
この場合、横方向に並べた条件範囲(A9:B10)を指定すると、「AND条件」となり、分類が「表計算」かつ金額が10,001円以上であるレコードのみが抽出されます。このレコードは「Excel 2010(15,000円)」のみなので、その金額の合計は15,000円となります。
縦方向に並べた条件範囲(A9:B11)を指定すると、「OR条件」となり、分類が「表計算」または金額が10,001円以上であるレコードが抽出されます。このレコードは「Excel 2010(15,000円)」、「Excel 2007(11,000円)」、「Word 2010(12,000円)」の3つなので、その金額の合計は38,000円となります。
DSUM関数とSUMIF関数やSUMIFS関数との違いと関連性
DSUM関数と似たような機能を持つ関数に、SUMIF関数やSUMIFS関数があります。これらの関数は、条件に合致するセルの値を合計する関数ですが、DSUM関数とは異なる点がいくつかあります。
まず、SUMIF関数やSUMIFS関数は、データベース形式のデータではなく、単純な表形式のデータに対して使える関数です。そのため、データベース範囲やフィールドという引数はありません。代わりに、合計範囲と条件範囲という引数を指定します。合計範囲は、合計したいセルの範囲を指定します。条件範囲は、条件を満たすセルの範囲を指定します。
次に、SUMIF関数やSUMIFS関数は、条件範囲に直接条件を入力することができます。DSUM関数では、条件範囲にはデータベース範囲と同じ見出しを含める必要がありましたが、SUMIF関数やSUMIFS関数では、見出しは不要です。条件は、文字列や数値、セル参照などで指定できます。
また、SUMIF関数やSUMIFS関数は、条件を複数指定する場合にも、横方向に並べる必要はありません。SUMIF関数は、条件を1つだけ指定できますが、SUMIFS関数は、条件を複数指定できます。条件を複数指定する場合は、SUMIFS関数の引数に、条件範囲と条件を交互に入力します。SUMIFS関数では、複数の条件はすべて「AND条件」となります。
DSUM関数とSUMIF関数やSUMIFS関数の違いと関連性をまとめると、以下のようになります。
関数 | データ形式 | 引数 | 条件の指定方法 | 複数条件の扱い |
DSUM | データベース形式 | データベース範囲, フィールド, 条件範囲 | 条件範囲に見出しと条件を入力 | 横方向に並べるとAND条件、縦方向に並べるとOR条件 |
SUMIF | 表形式 | 合計範囲, 条件, 条件範囲 | 条件範囲に直接条件を入力 | 条件は1つだけ指定可能 |
SUMIFS | 表形式 | 合計範囲, 条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2, … | 条件範囲に直接条件を入力 | 条件は複数指定可能で、すべてAND条件 |
DSUM関数のまとめ
DSUM関数は、データベース形式のデータから条件に合うレコードの数値を合計する関数です。この関数を使えば、フィルターをかけることなく、簡単にデータの集計ができます。また、複数の条件を指定する場合には、横方向に並べるとAND条件、縦方向に並べるとOR条件となります。
DSUM関数と似たような機能を持つ関数に、SUMIF関数やSUMIFS関数があります。これらの関数は、表形式のデータに対して使える関数で、条件範囲に直接条件を入力できます。SUMIF関数は、条件を1つだけ指定できますが、SUMIFS関数は、条件を複数指定できます。SUMIFS関数では、複数の条件はすべてAND条件となります。
DSUM関数やSUMIF関数、SUMIFS関数を使って、Excelのデータを効率的に活用しましょう。
コメント