楽天モバイルを固定回線代わりに使いたいと考えている方は多いのではないでしょうか。月額3,278円で使い放題という魅力的なプランですが、実際にモバイルルーターやテザリングで固定回線代わりに使うとどれくらいの性能が出るのでしょうか?
本記事では、エントリーレベルの端末からハイエンド端末まで様々な機器を使って、楽天モバイルの固定回線化に関する実験結果をご紹介します。世帯人数や自宅環境によっては、ホームルーターでなくてもモバイルルーターやテザリングで十分というケースも多いです。ぜひ参考にしてみてください。
楽天モバイルを固定回線代わりに使う方法
楽天モバイルを固定回線代わりに使う方法は、主に以下の3つがあります。
- モバイルルーターを使う方法:楽天モバイルのSIMを挿入したモバイルルーターをWiFiアクセスポイントとして使用
- スマートフォンのテザリング機能(WiFi)を使う方法:楽天モバイル契約のスマートフォンからWiFiテザリングで接続
- スマートフォンのテザリング機能(USB)を使う方法:USBケーブルで接続し、より安定した通信を確保
楽天モバイルでは、テザリングが追加料金なしで無制限に利用できるため、固定回線代わりに使うことが可能です。どの方法が最適かは、使用環境や接続する端末数、必要な通信速度などによって異なります。今回は様々な機器で実験を行いました。
比較テスト環境と使用機器の紹介
今回のテストでは、5G電波が入る屋内環境(カフェ)で各端末の速度測定を行いました。接続先のスマートフォンにはGalaxy Z Flipを使用し、ボトルネックにならないよう配慮しています。
テストに使用した機器
- エントリーレベルのモバイルルーター:楽天WiFiポケットプラチナム(4G対応、WiFi4、理論値速度:下り150Mbps/上り50Mbps)
- ハイエンドのモバイルルーター:Plus FFS050W(5G対応、WiFi6)
- エントリーレベルのスマートフォン:シャープ AQUOS wish4(テザリング用)
- ハイエンドのスマートフォン:iPhone 16 Pro Max(テザリング用)
各端末の特徴として、楽天WiFiポケットプラチナムは5G非対応で4Gのみ、Plus FFS050Wは5G対応でWiFi6も利用可能です。スマートフォン側は両方とも5G対応ですが、WiFiの規格に違いがあります。
楽天モバイルのエリアと特性
楽天モバイルのエリアは大きく分けて5Gエリア、4G LTEエリア、パートナー回線エリアの3つに分類されます。それぞれ特性が異なるため、自宅環境に適したエリアかどうかの確認が重要です。
- 5Gエリア:電波の範囲と同時接続数、通信速度のバランスは良いが障害物に弱い
- 4G LTEエリア:通信速度、同時接続数は5Gには劣るが電波が広範囲で障害物に強い
- パートナー回線エリア:楽天回線からパートナー回線に切り替わる際にタイムラグがあるため繋がりにくさを感じる場合がある
特に地下やビルなどの商業施設内では楽天モバイルが繋がりにくい傾向があります。また、新幹線や地下鉄での移動中に繋がらず仕事に支障が出るという声もあります。なお、2024年6月からプラチナバンドの提供拡大が進められており、今後は繋がりやすさが改善される見込みです。

楽天モバイルを固定回線代わりに検討している方は、事前に使用予定の場所が楽天エリア内であるかを公式サイトで確認しておくことをお勧めします。
通信速度の測定結果と分析
2025年3月時点の楽天モバイルの平均実測速度は、公式データによると4G通信で20〜50Mbps程度、5G通信では場所によって100〜200Mbps程度となっています。具体的には、2025年3月9日の速度計測では、時間帯にもよりますが62.63Mbps〜199.25Mbpsと安定した速度が確認されています。これは一般的な格安SIM平均の38.78Mbps〜67.55Mbpsと比較しても優れた速度と言えるでしょう。
一般的には、50Mbpsあれば動画視聴やビデオ通話、アプリゲームなどは問題なく利用できるレベルとされています。楽天モバイルはこの数値を十分に超えているため、基本的な通信環境としては優秀と言えます。ただし、スマホを使う場所や時間帯によって速度は大きく変動しますので注意が必要です。
続いて、各端末での測定結果を見ていきます。
エントリーレベルのモバイルルーター(楽天WiFiポケットプラチナム)
4G回線を受信し、WiFi4で接続した場合の結果です:
- ダウンロード速度:約47Mbps
- アップロード速度:8.24Mbps
ダウンロード速度は意外と悪くない結果でしたが、アップロード速度はやや低めです。クラウドへのバックアップなど、アップロード速度が重要な作業には不向きかもしれません。
エントリーレベルのスマートフォン(AQUOS wish4)でのテザリング
AQUOS wish4は4G/5G両方対応なので、それぞれの速度を測定しました:
- 4G接続時:楽天WiFiポケットプラチナムと同程度
- 5G接続時:4G接続時より高速(特にアップロード速度が向上)
エントリーレベルのスマートフォンでも、5G接続時には十分な速度が出ることがわかりました。特にアップロード速度は、エントリーレベルのモバイルルーターより優れています。
ハイエンドのモバイルルーター(Plus FFS050W)
Plus FFS050WはWiFi6対応で、2.4GHzと5GHzの両方の帯域を使用できます:
2.4GHz帯域での結果
- 4G接続時:ダウンロード速度は70Mbps程度
- 5G接続時:ダウンロード速度が100Mbpsを超え、アップロード速度も良好
5GHz帯域・5G接続時の結果
- ダウンロード速度:200Mbps超
- アップロード速度:約100Mbps
5GHz帯域と5G接続の組み合わせで非常に高速な通信が可能であることが確認できました。自宅で安定して5G電波が入る環境であれば、固定回線に引けを取らない速度が期待できます。
ハイエンドスマートフォン(iPhone 16 Pro Max)でのテザリング
iPhone 16 Pro MaxはWiFi6に対応しているため、より高速な通信が期待できます:
- 4G接続時:良好な速度
- 5G接続時:100Mbpsを超えるダウンロード速度
同じ2.4GHz帯域でも、WiFi6対応のiPhone 16 Pro Maxの方が、WiFi4対応のAQUOS wish4より良い結果が出ました。ただし、その差はそれほど大きくないため、普段使いではあまり気にならないかもしれません。
テザリングの種類と特徴
スマートフォンのテザリングには、主に3つの方法があります:
- WiFiテザリング:無線でデータを共有する最も一般的な方法。パソコンやゲーム機など対応機器が多く、複数端末の同時接続が可能。
- USBテザリング:ケーブルを使って接続するため、WiFiテザリングより速度が安定しやすい。また、接続中にスマホを充電できるメリットもある。
- Bluetoothテザリング:WiFiテザリングよりもスマホのバッテリー消費が少ないが、通信速度は遅め。
固定回線代わりに使用する場合は、安定性を重視するならUSBテザリング、複数機器を接続するならWiFiテザリングがおすすめです。
テザリング利用時の注意点
楽天モバイルのテザリングを使用する際の主な注意点は3つあります。1つ目は時間帯や通信エリアによって速度が変わることです。特に通勤ラッシュ時間帯や夕食後などの混雑時間帯では速度低下が発生する可能性があります。2つ目はテザリングできる台数に限りがあることです。機種によって異なりますが、一般的には最大5台程度の同時接続が上限です。3つ目はスマホのバッテリー消費が早くなることです。長時間のテザリング利用ではバッテリー切れに注意が必要です。特にZoomなどのビデオ会議を行う場合は、テザリングの利用はあまり推奨されません。

これらの注意点を踏まえた上で、自分の利用スタイルに合った接続方法を選ぶことが重要です。
モバイルルーターとテザリングのメリット・デメリット
実験結果から、モバイルルーターとテザリングのメリット・デメリットを整理してみましょう。
モバイルルーターのメリット・デメリット
メリット:
- 同時接続台数が多い(通常5〜10台程度)
- バッテリー管理がスマートフォンと分離できる
- 専用機なので設定が簡単
- 高性能なモデルなら5GHzやWiFi6に対応
- テザリングよりも通信速度が安定しやすい
デメリット:
- 追加で端末を購入する必要がある
- エントリーモデルはアップロード速度が遅い
- 持ち運ぶ機器が増える
テザリングのメリット・デメリット
メリット:
- 追加のデバイスが不要
- 最新のスマートフォンなら5Gに対応している場合が多い
- 設定が簡単で必要な時だけONにできる
- 楽天モバイルなら追加料金なしで無制限に利用可能
デメリット:
- バッテリー消費が激しい
- 同時接続台数が少ない(iPhoneの場合は最大5台まで)
- スマートフォンを持ち歩くと接続が切れる
- 3台以上で接続すると速度が低下する可能性がある
利用シーンに合わせた選び方
楽天モバイルを固定回線代わりに使う際の注意点として、以下の点が挙げられます:
- 3人以上で接続すると速度が遅くなる可能性がある
- 戸建ての場合は電波が届きづらいことがある
- オンラインゲームでは遅延が気になる場合がある
これらの点を踏まえて、利用シーンに合わせた選び方を見ていきましょう。
単身世帯向け
単身世帯で接続するデバイスが少ない場合は、テザリングでも十分対応できるケースが多いです。特に5G対応のスマートフォンを所有している場合は、追加の機器を購入せずにテザリングで固定回線代わりにするのも良い選択肢です。
常時接続が必要な場合は、バッテリー管理の面からモバイルルーターの方が便利かもしれません。また、USBテザリングを活用すれば、より安定した接続が可能です。

複数人世帯向け
複数人で同時に複数の端末を接続する場合は、同時接続台数が多いモバイルルーターがおすすめです。特に5G対応でWiFi6、5GHz帯域に対応した高性能なモバイルルーターなら、複数人での利用でも快適に使用できる可能性が高いです。
用途別おすすめ
楽天モバイルの固定回線化は、以下のような使い方であれば快適に利用できます:
- Webサイトの検索・閲覧:ニュースや調べもの、ネットショッピングなど
- SNS:XやLINE、インスタグラムなどの利用
- 動画視聴:YouTubeやNetflixの視聴
- テレワーク:オフィスソフトの利用や資料作成、Web会議など
- カジュアルなゲーム:対人戦以外のスマホゲーム、Nintendo Switchとの接続など
これらの軽い使い方であれば、2〜3台で同時接続しても問題なく利用できるでしょう。
速度重視の場合
通信速度を重視する場合は、実験結果から以下の条件を満たす機器がおすすめです:
- 5G対応であること
- 5GHz帯域に対応していること
- 可能であればWiFi6対応であること
今回の実験では、Plus FFS050Wモバイルルーターが最も高速でした。自宅で安定して5G電波が入る環境であれば、固定回線に近い使用感が期待できます。
光回線との比較
楽天モバイルを固定回線代わりに使うことには多くのメリットがありますが、通信速度の安定性を最も重視する場合は、光回線の利用も検討する価値があります。楽天モバイルのテザリングやモバイルルーターは、持ち運びやすさや料金面で優れていますが、通信速度の安定性という面では光回線に及ばない部分があります。
光回線は契約手続きや開通工事に時間がかかり、利用料金や工事費が別途必要になりますが、テザリングやモバイルルーターよりも安定した高速通信が可能という大きなメリットがあります。テレワークでのビデオ会議や大容量ファイルの送受信、オンラインゲームなど、安定した高速通信が必要な用途では光回線の方が適している場合があります。
ただし、単身世帯や短期滞在、引っ越しが多い場合など、光回線の工事や解約手続きが煩わしいケースでは、楽天モバイルの固定回線化は非常に魅力的な選択肢となります。
楽天モバイルのキャンペーン情報
楽天モバイルでは、モバイルルーター購入に関するキャンペーンも実施しています。
楽天WiFiポケットプラチナムは、楽天最強プランの申し込みで本体価格が1円になるキャンペーンを実施中です。ただし、本体価格は通常7,980円なので、回線契約のみでポイント還元を受ける方がお得な場合もあります。
2025年3月現在、楽天モバイルで実施されている主なキャンペーンは以下の通りです:
- 新規・乗り換え特典:SIMとeSIMのみの契約で最大14,000円相当、端末セットで最大36,000円相当の特典あり
- 家族で契約する場合:紹介キャンペーンでさらにお得に
- 単身または再契約の場合:三木谷キャンペーン(ポイント還元額が多い)
また、楽天モバイル直営のホームルーターサービス「楽天ターボ」もありますが、月額料金が4,840円と通常の楽天最強プランの上限(3,278円)より高額です。ただし、最強プランとセットで利用すると1,000ポイント還元キャンペーンがあり、4年使用すると端末代が実質0円になる場合もあります。

まとめ:最適な固定回線化の方法
楽天モバイルを固定回線代わりに使う方法について、様々な端末での実験結果をご紹介しました。結果をまとめると:
- 高性能な端末ほど良い結果が得られる(当然ですが)
- エントリーレベルのスマートフォンでも、5G対応なら意外と良い性能
- 5Gと5GHz帯域、WiFi6の組み合わせが最も高速
- 利用シーンに応じて、テザリングでも十分な場合がある
- USBテザリングを使えば、より安定した通信が可能
利用環境や用途によって最適な選択肢は異なりますが、単身世帯やライトユーザーであればテザリングでも十分に対応できます。複数人での利用や高速通信が必要な場合は、高性能なモバイルルーターを検討してみるとよいでしょう。
楽天モバイルの月額上限3,278円という料金は、固定回線と比較してもかなりリーズナブルです。自分のライフスタイルに合った方法で、楽天モバイルを最大限活用してみてはいかがでしょうか。
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